バイタルとは
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低侵襲治療のプロフェッショナルとして
「低侵襲治療」とは文字通り患者さんにとって侵襲が低い治療法、すなわち体の負担の少ない治療を意味します。心臓や血管の病気を患う患者さんにとって、できるだけ体への負担が少なく、少しでも早く日常生活に復帰できる、QOLの高い治療法が今求められています。
株式会社バイタルは、1984年の会社設立当初から少しでも多くの患者さんが体の負担の少ない治療を受けられるように、様々な低侵襲治療をサポートする医療機器を国内外で発掘し、日本の医療従事者の方に提供してまいりました。その中でも私達が専門的に取り扱っているのは外科的な低侵襲治療(低侵襲心臓手術)用の医療機器です。低侵襲心臓手術は大きく分けて次の2種類があります。
1. 人工心肺を用いない心臓手術(心臓を止めずに動かしたまま行う手術)
狭心症や心筋梗塞の外科的な治療法の代表として冠動脈バイパス手術があります。冠動脈バイパス手術(CABG)は詰まった血管を迂回し、患者さん自らの血管でバイパスする治療法です。
従来心臓の手術をするときはまず心臓内の血流を一旦止めて人工心肺装置という医療機器を用いてポンプで血液を体外に出し、体の外で人工肺と呼ばれる特殊な医療機器を通じて酸素化した血液をまた体内に戻します。こうして心臓以外の全身の臓器への血流は維持しながら心臓自体の血液は空にして心臓にメスを入れ手術をしていました。しかし、体内の血液を外部に出すことによりひどい炎症反応が起きたり、脳梗塞のリスクがあることが古くから知られております。
そのため、1990年代から心臓を止めずに動かしたままバイパス手術を行う、「オフポンプ(Off-Pump)CABG」が普及し始めました。人工心肺装置やその他の関連器具器械が物理的に不足していた南米で始まったこの手技ですが、その後世界中に広まりました。その中でもこの日本には、海外諸国に比べてOff-Pump CABGの施行率が非常に高く、優れた技術を持った心臓外科の先生が全国に数多くいらっしゃいます。この動いた状態の心臓の表面に約1mmから2mmの血管を縫合する難易度の高い手術は患者さんへの負担は軽減されますが、その分スタビライザーとポジショナーという、拍動している心臓の向きを変え、縫合する箇所を固定する特殊な医療機器が必要となります。

- OPHIDIA スタビライザー
- 縫合したい心臓血管の周囲を物理的に固定し、拍動した心臓においても血管縫合が可能になります
- (輸入販売元/国内発売元:株式会社バイタル)

- OPHIDIA ポジショナー
- 縫合したい心臓血管周囲を露出させる為に心臓表面を吸引しながら、執刀する外科医の好きな位置に心臓をポジショニングできます。
※この際心臓の血行動態に注意する必要があります - (輸入販売元/国内発売元:株式会社バイタル)
実際の手術で使われている様子は下のイラストのとおりです。
心筋に酸素や栄養素を供給する冠動脈は心臓の周囲あらゆるところを走行しています。心臓を動かした状態のOff-Pump CABGの場合、詰まってしまった心臓の血管(冠動脈)の先に迂回するバイパス血管を縫合するためには、心臓外科の先生方は縫合する箇所を的確に見極め、また、その箇所に縫合しやすいように、「ポジショナー」で心臓のポジショニングを行い、「スタビライザー」で縫合部をしっかりと固定させる必要があります。
当社は2003年からこれらの医療機器を輸入販売し続けており、日本国内でこの患者さんにとって負担の少ないOff-Pump CABGがより一層普及されるべく、各種の心臓外科関連の学会に協力させていただきながら企業としてこの手技の啓蒙活動を行って参りました。
さらに2011年からは海外に自社工場を設立し、独自の製品を設計・開発を始めました。そして2016年から現在に至るまでこの製品を日本国内で販売しております。今後もさらに進化させ、より良い製品にすべく、日々営業活動の傍ら、製品改良と新製品の設計開発作業を続けております。上述したOPHIDIA(オフィーディア)という製品は現在日本以外に韓国と台湾でも販売を行っておりますが、近い将来、これらのOff-Pump CABG用の医療機器を欧米はもちろん、その他のアジア各国にも輸出する事業も現在進行中です。
2. 胸骨を完全切開しない心臓手術(MICS手術)
古くから心臓の手術は行われてきましたが一般的な心臓手術の方法は、患者さんの胸にある胸骨を20cmから25cmほど切開し、胸を開き、心臓にアプローチする胸骨正中切開法がほとんどでした。
当然ながら胸骨を大きく切ると、術後も傷みが残り、また呼吸するのにも負担がかかり、日常生活に戻るのに時間がかかってしまいます。1990年代から欧米を中心に、胸骨を全切開せず、部分切開したり、あるいは胸骨は全く切開せずに肋骨と肋骨の間に切開を行って手術する縫合が普及し始めました。この手術を一般的にMinimally Invasive Cardiac Surgery と言い、その頭文字をとってMICS(ミックス)と呼ばれています。
MICSで行う手術には、心臓弁膜症や先天性の心房中隔欠損症などがありますが、上に述べた人工心肺を使用しない冠動脈バイパス手術(Off-Pump CABG)も胸骨を切らず、肋骨と肋骨の間から行う心臓外科の先生方もいらっしゃいます。傷が小さいことで痛みが軽減され、入院日数も短くなるので日常生活への復帰も早まり患者さんの術後のQOLが向上されます。しかしながら手術をする先生方にとっては手術創が小さいため、手術の視野が非常に限られ、難易度がとても高い手術です。視野だけでなく、手術のワーキングスペースが狭く、さらに体の奥深くでの器具操作が必要になるので従来の手術とは全く異なる手術器具が必要です。
下の製品は弊社が現在取り扱っているMICSの手術に使用される医療機器の一部です。
日本においても古くからこのMICSを取り入れて低侵襲心臓手術を行っている先生方がたくさんいらっしゃいます。またこれまでに日本中のMICS手術のエキスパートの心臓外科の先生方が、いろいろな研究会や学会などを通じて、日々MICSの教育啓蒙活動をされてきました。その結果、現在ではMICSの手術が受けられる病院が日本中に多数あります。これからもますます普及していく手術法です。当社も企業としてMICS手術のさらなる普及と発展に全面的に協力してまいります。
これらの手術は患者さんへの負担が少なくなる一方で、手術をする心臓外科の先生方には非常に難易度が高い手術です。そのため、私達医療機器メーカーの責務は、このような手術が少しでも行いやすくなるような医療機器を日本国内に導入することだと常に社員一同考えています。低侵襲医療をサポートする医療機器は、まず安全で使い手にとって使いやすい物でなくてはなりません。また欧米諸国と比べて体格の小さい日本の患者さんに対しても問題なく使用できるものである必要があります。当社の営業チームと商品開発チームは、このことを念頭に置きながら日々の営業活動を通じて、使い手である心臓外科医の先生方のニーズを探りつつ、たくさんのことを勉強させていただいております。そして最終的に私達が導入する医療機器でより多くの多くの患者さんが、体の負担が少ない低侵襲心臓手術を受けられ、一日でも早い日常復帰ができることを目指して日々仕事をしています。
研修プログラム
当社ではこれらの低侵襲治療を支える器具の導入だけでなく、これらの難しい手術を国内外の心臓外科の先生方が、海外のエキスパートの先生方から学んでいただけるような研修プログラムも提供しております。医療機器メーカーとして単なる商品の開発や販売にとどまらず、低侵襲心臓外科手術の啓蒙活動にも力を注いでおります。